■ コミック・コーナー ■


コミックのコーナーです
ニャオン!



このコーナーでは、私のお気に入りのコミックを、思いつくまま、気まぐれに集めてみました。
どちらかというとストーリー重視型なのですが、爆笑エンターテイメント系もいくつか含まれて
おりますので、食指が動くものがありましたら、どうぞご覧になってみて下さい。

総括的な話は、下記の「マンガの話」をご覧下さい。


お薦めコミック
1 高野文子「絶対安全剃刀」(白泉社)

短編作家としてダントツに挙げるのが高野文子さんです。
中でもこの「絶対安全剃刀」は、いろんな傾向の作品が詰まっていて、それがまたみんな ハイレヴェルなものばかり。
「アネサとオジ」の「変形八の字ベロ出し赤面」のセリフは、他人には絶対真似が出来ない でしょう。
他にちょっと長編の「おともだち」(綺譯社)、「るきさん」(筑摩書房)、「棒がいっぽん」 (マガジンハウス)などがあります。

2 萩尾望都「銀の三角」(早川書房)

萩尾望都、モー様とくれば、「ポーの一族」と「トーマの心臓」(小学館)が評価が高いのですが、 超次元的宇宙的広がりを持つ、この「銀の三角」を私は第一に挙げたいと思います。
「ラーマーヤナ」などの古代インド叙事詩にも勝るとも劣らぬその風格ある作品は、読むに従っ て、その画の中から音楽が聴こえてくるような錯覚に陥るから不思議です。
その音楽は、まるで押井守監督の「天使のたまご」(音楽:菅野由弘)の様。
これ、アニメにすると不朽の名作になると思うのですが……。
他に「スター・レッド」や「マージナル」など、FMラジオドラマにも採り上げられた名作がひ しめいています。
「11月のギムナジウム」(小学館)が「トーマの心臓」の原点となったということは、意外に知ら れていません。個人的には原作付きですが、光瀬龍原作の「百億の昼と千億の夜」が、原作を上回 るスケール感を見せてくれて、大好きです。

3 内田善美「草迷宮・草空間」(集英社)

甲府一高出身の内田さんの作品は、不思議な趣のあるものが多く、中でも「草迷宮」は現在手に入 れることが困難なので、ぜひ、再版を望みたい作品です。「ねこ」の存在と自分の深層心理、意識 との関わり合いをみっちり描きこんだ画で表現されると、自分まで不思議な世界に足を踏み入れて しまったような気になってしまいます。
他に「星の時計のLiddell」も美しい表紙絵で、これまた中身も描きこんだ画がビッシリで、寡作 だという理由、うなずけます。それにしても、最近はあまりみかけないのですが、どうしたのでし ょうか?

4 須藤真澄「電気ブラン」(竹書房)

「電気ブラン」には「告知」をはじめ、数々の珠玉の短編が含まれています。
「電気ブラン」で有名になった須藤さんですが、「観光王国」や「子午線を歩く人」など、アスベ クト・コミックスで復刻されたおかげで、今、また、素晴らしい作品の数々を目にすることが出来 て、本当に幸せです。
ほわ〜んとした絵柄に騙されてはいけません。
内容は、もの凄くシビアなことを描いているんですよね、須藤さんて。

5 手塚治虫「火の鳥」(朝日ソノラマ・コミックス)

「ブラックジャック」や「鉄腕アトム」を挙げる人が多いのですが、私は生命の神秘と素晴らしさを 高らかに歌い上げた「火の鳥」が大好きです。
ハードカバーや文庫サイズがありますが、B5版の大きなサイズで読むと、その圧倒的迫力を、より 一層味わうことが出来ます。

6 木城ゆきと「銃夢(GUNNM)」(集英社)

これくらいハードボイルドに近未来を描きながら、どんな時にも「希望」を忘れず、己の可能性を 信じて突き進む作品を描くことが出来る方は、そうそう他にはいらっしゃらないでしょう。
スケールが大きいくせに、細かな心情描写なども見事な作品です。

7 高橋留美子「犬夜叉」(小学館)

「うる星やつら」「めぞん一刻」などで一世風靡した作家ですが、「るーみっくワールド」等にも 日本の古い伝承などをからめた、おどろおどろしい、それでいて切なく美しい物語を描いています。
その延長腺上にあるのがこの作品。
けっこうおちゃらけた場面があるのですが、半妖の犬夜叉と人間のかごめとの心の交流を息の長いタ ッチで描いた、名作だと思います。
アニメ化されていますが、イマイチ、高橋留美子らしい、おどけた部分がうまく出せていない気がし ます。

8 筒井百々子「たんぽぽクレーター」(小学館)

これくらい切なく美しい近未来ストーリーはないでしょう。
主人公のジョイスがPART2の「ドーム風だより」の扉画で2008年に死ぬことをハッキリ描いてい ながら、これほど飽きさせずに、ドキドキしながら読み進めることが出来る作品は、なかなかあり ません。

9 津野裕子「デリシャス」(青林堂)

絵柄と作風がとってもアンティークなのに、作品の内容は凄く現代的。なんだか不思議な作品群だ と思って読み進めている内に引き込まれてしまう、とっても不思議な作品です。
「雨宮雪氷」(青林堂)も有名な作品ですが、この本の表紙絵の女子高生がなんとも色っぽくて……(^^;

10 やまだ紫「しんきらり」(青林堂)

主婦モノを描かせたら、この人の右に出る漫画家さんはいらっしゃらないでしょう。
子供の成長をこういうふうに妻であり母である女性は感じるんだ、と、納得させられてしまう逸品。

11 みず谷なおき「人類ネコ科」(小学館)

かの「谷山浩子」様を「谷山さんがマイナーな歌手」と言うゴロ合わせで主人公、谷山舞奈ちゃん の名前を付けたと作者が白状するだけあって、実に楽しめる作品です(って、何のこっちゃ(^^;)。
笑わせながらほろりとさせるあたりの展開ぶりは、なかなかどうして漫画家さんの王道を行って ると思うのですが……。

12 川原泉「笑う大天使(ミカエル)」(白泉社)

笑わせることに関しては、天下一品!
なにせ、あの、「北斗の拳」すら取り込んで笑いの種にしてしまう、凄腕!!
「司城史緒様、ラオウ様より強いケンシロウ様です」のセリフに、大爆笑。
いやぁ、この作品はそれ以外ににも面白いセリフがそこここに散りばめられていて、読むだけでも 楽しめる、これまた名作と言えましょう。

13 新谷かおる「エリア88」(小学館)

中東の国に題材を採りながら、ここまで惹き付ける作品って、いったいなんでしょうかねぇ。
人物の描き方が見事!
傭兵の殺伐としたストーリーを描くかと思えば、切なく愛情あふれるシーンをしっとりと描くこと も出来るし、それでいて一本芯が通っていて、そう、アニメ「COWBOY BEBOP」の様な無情世界 をちょっと引いた視線で捉えることも出来るという、何度読んでも読み飽きない作品です。
これ、引っ越しの度に必ず手に取るや、一気に全巻読んでしまわないと気が済まない、なんとも罪 作りなコミックだったりします(^^;

14 勝鹿北星作・浦沢直樹画「MASTER KEATON」(小学館)

「YAWARA!」で有名な浦沢さんですが、中身で言ったら、このMASTER KEATONの方が数段上 と言っても良いくらい、見事な作品です。
元英国特殊空挺部隊(SAS)の曹長で、オプ(保険調査員)の仕事をしながら、心はあくまで考古学者。
そんなちょっと宙ぶらりんの主人公に何となく自分を重ねてみたくなるのですが、ところがどうして、 中身は超ハードボイルド!
ゴルゴ13のような、超人的必勝主人公とは違い、弱さも持ちながら一つ一つ階段をのぼっていくよう にして成長していく様が、現代人の我々の心を打つものがあるのでしょう。

15 佐々木倫子 「Heaven(ヘブン)?」(小学館)

「動物のお医者さん」、「おたんこナース」と続いて、なんと意表をついて、ビックコミック・スピリッツ に連載してしまいました。
数ある彼女の作品の中で、これくらい佐々木倫子の臭いがプンプン感じられるものはないでしょう。
おたんこナースでちょっと説教じみた部分が、この作品では見事に肩の力が抜けて、楽しめるようになって いるかと思います。

16 平井和正・原作 石森章太郎・絵「幻魔大戦」(秋田書店)

原作はその後いろんな形をとって続編ぽくやっていますが、最初に強烈なインパクトを与えたという意味 では、これに優るものはないでしょう。
その後アニメ化される際にも、この絵のインパクトの強さ故か、キャラデザインもそっくりです。
007とかいろんなオリジナル作品があるのに、石森章太郎というと、私には幻魔大戦のイメージが一番 強い様です。

17 吉田秋生「櫻の園」(白泉社)

吉田秋生と言うと、「吉祥天女」も有名ですが、青春時代の女の子の気持ちをこれくらいストレートに 読み手が男の子でもわかりやすく伝わってくる、逸品。
少女漫画のジャンルを超えた作品と言えるかも知れません。

18 秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(集英社)

これくらいマニアックな題材を頻繁にとりあげながら、ネタ切れに鳴らずに100巻を超えるコミックを 世に送り出すこと自体、驚異的なことです。
内容的にもエンターテイメントに徹していて、ちょっと懐かしい下町を実にコミカルに描いています。
お見事と言うしかありません。

19 佐藤晴美「50億のマーサ」(笠倉出版社)

動物モノを描かせたら、この方の右に出る者はいないのではないか、と思うくらい、凄い作品です。
し〜ん、と心にしみ渡ってくる、そして少し悲しげなストーリーです。

20 ふくやまけいこ「ゼリービーンズ」

東京物語の方が有名なふくやまさん。でも、近未来に題材をとりながら、血のつながらない「家族」を 描いたこの作品、当時デビューしたてだった彼女の感性の非凡さを物語っている代表作だと思います。
読んでいて、不思議と音楽が聴こえて来るような、そんな流れの良さとイメージがあります。

21 尾瀬あきら「夏子の酒」 (講談社 モーニングKC 全12巻 掲載紙「モーニング」)

お酒のことは何も知らなくても、これを読み終えたあなたは、いっぱしの蘊蓄を語れることでしょう。 しかしこのコミックの凄いところは、声を大にして拳を突き上げたり、反対勢力を論破することに生き甲斐 を感じるようなことをせずとも、漫画という媒体ながら、米作りの話を通して、社会派を自任する作家の方 々に負けないくらいの共感を得ることが出来る作品を作り上げることが出来た、というところにあるかと思 います。
夏子をはじめとする登場人物が涙もろいのがちょっと苦手、という方がいらっしゃるかも知れません。 味や香りを文章や絵で表現する限界を見た、とおっしゃる方がいらっしゃるかも知れません。 夏子以外にろくな可愛い女の子が出てこない、とご不満を述べる方もいらっしゃるかも知れません。 でも、読み終わった後に爽やかな満足感を覚える作品は、そう、ざらにはないと思います。

22 森 薫「シャーリー」 (BEAM COMIX)

「エマ」が有名になった森薫さんですが、エマと同時期に個人誌で発表した作品が、これです。
エマほど細かな取材と精緻な描き方ではありませんが、幼いシャーリーがメイドとして仕事をしていく 時の視線で描かれていて、とても新鮮です。こんな可愛いメイドさんなら、自分も欲しいと思うのですが、 いかんせん、日本では義務教育中、お仕事は御法度の13歳という設定ですから、これをエマのような 月刊コミックビームに掲載するわけにはいかなかったのかも知れません。
そうそう、アニメになった「エマ」、原作の雰囲気を実にうまく伝えていて、見事です。必見です。

23 緑川ゆき「夏目友人帳」 (白泉社)

アニメを先に観てしまった私ですが、原作本に戻っても、その世界感・イメージを損なわずにアニメ化した スタッフに改めて脱帽です。
もちろん、原作のストーリー展開の見事さも特筆すべきで、ちょうど同じ頃、「ゲゲゲの女房」をNHKで やっていて、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」が再認識される中、より現代的な、日常の中の妖怪話に 自然と引き込まれて、いつしか主人公の夏目貴志に読者のイメージを重ねさせてしまうあたりは、 作家の力量なのでしょうか。

24 末次 由紀「ちはやふる」(講談社 Be・Loveコミックス)

競技カルタを題材に、主人公、綾瀬 千早(あやせ ちはや)の成長を描いた作品。
作品のノリが、囲碁を題材にした「ヒカルの碁」に似て、勢いがあり、読むに従って グングンひきこまれて行く。ぜひ、ヒカルの碁のスタッフでアニメ化して、競技カルタを もっと周知させて欲しいものです。
競技カルタのことを知らなくても、ワクワクして読める作品です。

25 小玉ユキ「坂道のアポロン」(小学館)

ジャズをバックに、長崎の田舎町で主人公、西見 薫(にしみ かおる)が、友人、川渕 千太郎 (かわぶち せんたろう)の幼馴染み、迎 律子(むかえ りつこ)を巡って、友情と 恋愛の狭間で揺れ動き、大人への階段を一歩一歩上っていく日常を、まるで1970年代初頭の テレビドラマのような懐かしさと、純粋が故に傷つき、でもそれが故に目映いばかりの輝く 青少年像を見事に描いた作品。
一歩間違えば、ありきたりのどこでもある青春ドラマとなって、インパクトに欠ける筈なのに、 ドキドキしながら読み進ませてしまう手腕は、さすが。
ま、読み始めが、主人公が私と同じ「薫」で九州の人間、ということで親近感を持ったと いう、不純な動機が、何とも……。

26 原作:久住昌之 画:水沢悦子「花のズボラ飯」(秋田書店)

簡単ピザトースト、たまご飯、カレーライス(しかも3日目!)、豚バラ&うどん、 ところてんは醤油とお酢に練りからし、ハーゲンダッツのラムレーズン……。
これって、私の先週の食べたもの、そのまま。「花」は、私そのものだぁ!
ふっふっふっ……。でも私は「花」のさらに上を行くのだよ。
冷蔵庫を駆使して、半額安売りしていたおにぎりやパン、鶏の胸肉を冷凍したり、 もっとずぼらで、一週間、おこもりが出来たりするのだ。
などと、妙に張り合いたくなってしまう、今日この頃です。


コミック関連リンク集

(Link date 1999.12.31)

「とらのあな」池袋店は10万冊のコミックを有し、同人誌は5000タイトルあまり。コミケで入手し損なった同人誌など、 手に入れることが出来るものがあります。秋葉原にもお店を出しています。

海洋堂
(Link date 1999.12.31)

ご存じ、フィギュアで有名な「海洋堂」のホームページです。見ているだけで、アブナイ世界に足を踏み入れてしまったことを実感することでしょう。 ワンフェスなどのイベント情報も盛りだくさんです。思わず見入ってしまうこと、請け合いです。

富士見書房ホームページ
(Link date 1999.12.31)

最近では「サクラ大戦」や「宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」それに「オーフェン」で有名になりましたが、ゲーム系にも強く、面白い企画が満載。 新刊情報も参考になります。それにしても角川書店傘下だったとは……。

尾瀬あきらの蔵
(Link date 2002.3.1)

ご存じ、「初恋スキャンダル」「夏子の酒」の尾瀬あきら氏のホームページ。
“尾古瀬あきら”の名前で 「いざかやくん」と題した4コマ漫画を描いていて、これがけっこう楽しめたりします。「夏子の酒」の 楽屋オチものが増えると、もっと楽しめると思うんですけど…。

Last update Feb.9.2011

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